試合前。アウェイバックスタンド付近より芝生席ゴール裏方面。
晩秋の上州の夜風を頬に強く感じながら、公園を彩る赤や黄色のグラデュエーションが取り囲んだスタジアム。
遠くに丸くて白く見える満月が、低く夜空に浮かぶ。
足元には銀杏が散らばっていて、それを踏んだにおいを感じることができた。
吐く息はかろうじてまだ白くはないが、首まですっぽりと何かを着ていないと、この寒さと風は耐えられない。
スタジアムに入ると、同じような黄色と紺色の集団が、ふたてに分かれて懸命に声をあげている。
片方の黄色い集団には、若干緑色や赤色も交ざっているようだ。
時間の経過とともにだんだん空も暗くなり、照明に照らされた芝生がそこがステージであることを強調している。
試合が始まり、どちらの集団も選手を鼓舞することに必死だ。
そして退屈な時間がすぎ、私は受け入れざるを得ない結果を、どうやって受け止めればいいのか悩んでいた。
意外にも怒号はさほど聞こえなかった。
受け入れざるを得ない結果。この日この時この瞬間を、みんな自分なりに受け止めていたんだ。
それは悔しさなのか、悲しさなのか、誰にもうまく表現できない。
うなだれる選手を前にして、何も言えなかった。
ふと目をやると、さっきより月が上のほうにいる。
夜だけど雲一つないきれいな夜空。そして白くて丸い月。
終わったんだ。終わったんだ。